2006年5月24日、常磐線快速電車用103系(東マト所属)のマト22編成(除くMc147)と31編成が、自力回送で尾久へ移動し、翌25日、機関車に牽引され、長野へ廃車回送された。 多くの路線で高度経済成長期の通勤使命を担ってきた103系も今回の廃車回送で首都圏からは完全に姿を消す形になり、最後の姿を一目見ようと、沿線には多くのファンが訪れた。 (尚、訓練車や事業車として何両か残るものもある。)
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3月18日ダイヤ改正で引退後、4月のイベントでさよなら運転が行われたが、常磐線名物・クモハ(↑写真の低運転台車両)先頭の豪快な走行は見られなかった。 現役引退後、このイベントの撮影会ということで、脚光を浴びることはあったが、毎日ひっそりと松戸電車区の端にたたずみ、地味ながらも後輩車両の安全運行を見守ってきた。 かつての轟音を奏でることを忘れたかのように、静かにたたずみ、今日という廃車回送の日を迎えた。 2003年度末、常磐線に残された103系は全部で20両(訓練車含まず)。 この2年間、ファンにとっては長い「さよなら運転」のようなもので、狙えば比較的簡単に目にすることができたが、その背景的なことはどうだったのだろうか。 E231系が登場する前の常磐線・・・。 青緑色一色の古めかしい車体でうるさく通過してゆく103系は、しばしば沿線乗客にとって「騒音」という迷惑をかけてきた。 それだけではない。 冬は隙間風で寒い。夏も冷房の効きすぎで寒い。天井から冷房の水が垂れたる。台車の構造上、とにかくよく揺れる。常磐快速ではモーターの設計回転数の3倍近く回るので、車内で会話ができないほどうるさい。といった具合に、居住性もへったくれも無い車両であった。 しかし、E231系が出揃い、103系が1本体制となった2年間で、常磐線沿線で酷だった「103系騒音」が激減し、E231系・E531系といった拡幅車が増備され、居住性が改善された。 さらに並行してTX「つくばエクスプレス」が開業し、常磐線自体を利用しなくなる乗客も出てきたということで、103系批判の風潮はめっきり薄まった。 むしろ、多数派となった新型電車の中、やってくる103系に、「ああ、まだ走っていたんだ!」「珍しいねぇ」といった、人々の日常における発見を誘い、生活の良いアクセントをつけていたかもしれない。 幾分話が脱線したが、筆者はこの「つくばエクスプレスによる常磐線の通勤圧力緩和」が103系の引退に絡んでくるのが興味深いと感じている。 「混雑で窓ガラスが割れる」といった殺人的な混雑を緩和するために計画された「つくばエクスプレス」。 老兵となった103系から「減量ダイヤ」という形で重荷を受け取ってその任を解いたのも、103系の最後の2年間を隠居的に過ごさせたのも、首都圏で常磐線に103系が残ったのは「つくばエクスプレス」に他ならないのだ。 103系が長野へ行った後、「つくばエクスプレス」の旅客推移が当初の目標を超えて好調(5月30日 日経)というような、常磐線への通勤圧力の減衰という実績もはっきりしてきた。 今回の103系の引退は、(↑写真)右に見える203系や231系といった、子供・孫世代の車両へ通勤電車の使命を託しただけではなく、曾孫ともいえる「つくばエクスプレス」にも使命を託している点に大きな意味があると考える。首都圏に残った最後の103系だけはある。 松戸車両センター(敷地外)にて |
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編成札は4月のイベント時と同デザインの特別仕様。 38年間、保守に携わってきた車両センターの方々の暖かい思いがこもった札を右目に掲げる。 |
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口元には反射板用の台座が取り付けられ、これから帰らぬ長旅に出ることを物語っていた。 |
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さらば、松戸車両センターよ。 家の玄関のようなこの場所を通るのも今日が最後。 |
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2ヶ月ぶりにグイグイと、グイグイと快速線を加速してゆくクモハ84 以下9連。 9連という変則編成では有るが、かつての快速電車を彷彿とさせた。 方向転換のため、一旦取手まで下るという。 気をつけて、行ってらっしゃい! 松戸-北松戸にて |
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馬橋を通過。 その2へ続く
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